Soliloquy

【 2003/6 】

* モヤシと白球と紫外線 (6/1)
* 人体実験 (6/8)
* 移転作業 (6/22)
* 移転作業II−先輩方の亡霊− (6/26)
* 移転作業III −そして山頂へ− (6/30)

* 2003/6/1 (日) 【 モヤシと白球と紫外線 】

あああああああああああ…。
すいませんすいませんすいませんすいません本ッ当すいません。
 …先生に風邪をうつしてしまいました。講義があるのに、ピンポイントで喉にくる風邪を。
 他にもなんだかコホコホ言う先輩が出てきたりして、なんだか私の研究室だけ渡航延期勧告な雰囲気です。本当に申し訳ありません、迷惑かけまくってます。

そんな状況だった先週末、うちの専攻でソフトボール大会が行われました。なんだか話の流れが唐突なような気がしますが、この大会は毎年恒例、年中行事、決定事項です。そんなわけで、各研究室がソフトボールチームを結成し(人数が足りない研究室は他の研究室に人を送り込み)、この大会に出場することになります。もちろん、「全国大会を目指せ!」とか、そういう本気のソフトボールではなく、「研究者達の日々の健康の維持に」というのが主眼におかれている(はずの)大会ですので、サークルでスポーツやってたがっしり型も、およそスポーツとは無縁の色白モヤシっ子も皆一様に青空の下でソフトボールです。

とはいえ、そんなに実力に差がある者同士が同じチームでソフトボールするのはなかなか難しいのも事実。そこで、各研究室、基本的にA、Bの2チームを作ります。
 Aチーム:優勝めざし、本気でソフトボールを行うチーム。
 Bチーム:トーナメントの円滑な運営のためにAチームに勝ちを譲るチーム。
 …なんだか、大人の世界です。

A、B各チームを見ても、研究室ごとにその態度は様々です。
 ただの遊びとして、研究優先、練習無しのチーム(私の研究室がこれに当たります)。
 わりと本気で、きちんと練習をしてきているチーム。
 かなり本気で、教授の号令の下、研究よりも院試勉強よりもソフトボールの練習がなされているチーム。
 って言うか、教授が講義を休んでピッチャーしてるチーム。

そんなわけで、どのチームが優勝するか始めからわかってそうなものなのですが、割とそうもいかないのが世の常。当の私たちも早々に敗れて引き上げる予定だったのに、本気の経験者が数人いたおかげで決勝まで勝ち残り、あまつさえ優勝までしてしまいました。なんていうか、練習なんて何もしていなかったのに。決勝で破った本気チームの教授が、笑顔ながらもめっちゃ悔しそうでした。
 もちろんこんな本気試合では私の出番はなく、照りつける太陽の下、ひたすら観戦です。

じゃあ見に行ってただけか、といわれるとそうではなく、私も試合をやりはしました。申し訳程度に、Bチームで。
 私の所には2度、打球が飛んできました。
 1度め、私の遥か左上を通り過ぎていきました。
 2度め、私の足の間を通り過ぎていきました、絵に描いたようなトンネル。
 …まあ、私とボールとの友情は、こんなもんです。
 それ以前に、キャッチボールだけで息が上がるのはどうかと思いますが。

そんなこんなで、一日中、久しぶりに太陽の下、一気に日焼けしてきました。さすが、この季節の紫外線は伊達じゃありません。まだ所々ひりひりします、皮はだいぶむけました。

…なんていうか、ある意味不健康です。

[ 敬称略 ]

* 2003/6/8 (日) 【 人体実験 】

まずは先週のお詫びと訂正から。 『って言うか、教授が講義を休んでピッチャーしてるチーム』と挙げましたがこの教授、今年は講義担当に入っていませんでした。謹んでお詫びを申し上げ、訂正いたします。去年までは、講義しながら、「今日はソフトボール大会なんで、こんな講義さっさと終わらせて試合に行きたいんです。あの教授の球がどうしても打てないんですよねぇ。」などと雑談をし、本当に10分ぐらい切り上げて終わっていらっしゃったのですが。

しかし本当にアツい大会でした、主に気象条件の意味で。グランドはからからに乾き、風が吹けば砂塵が舞います。舞い飛ぶ砂煙の中、真剣な眼差しで向き合う二人(ピッチャーとバッター)。ここで砂埃と一緒に"WANTED"などと書かれた破れ張り紙が舞おうものならちょっとした西部劇テイストです。などと思っていたら実際に舞い飛んでくるものがありました。
 …焚き付け用の裏紙とはいえ、論文はちょっとどうかと思います。

そんなソフトボール大会から一週間、実は、皮膚が、まだ、めくれてきています。ある意味紫外線被爆実験だったことは否めません。では、実験結果ですが、
 日光に対してシールドされていなかった順に皮膚がめくれてきています。
 始めは、顔。
 次に、頭皮(帽子を被っていなかった)。
 さらに、途中で日よけにジャージを羽織ったもののまともに袖を通していなかった左腕。
 そして、ジャージを羽織って、暑いのにきちんと袖を通しておいた右腕。
 なんだか、きれいに相関関係が出ています。紫外線の照射量のデータを取っておけば何らかの直線(あるいは、曲線)が引けたかも知れません。なんだか、ちょっとした発見です。
 一皮むけるって、こういうこと?

…ともあれ、紫外線対策にはおぬかりなきように。ああ痒。

[ 敬称略 ]

* 2003/6/22 (日) 【 移転作業 】

…遠い。
 遠いぞAクラスター!

…突然叫んでしまい申し訳ございません。梅雨に入り、衣替えをし、気温も湿度も上がり、大気中に水分が存在することを肌で感じられるようになって参りました今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。研究室はクーラーが稼働しっぱなしです。なんと言っても除湿のため。部屋の中の水分だけでも実験結果に重大な影響を及ぼすことがあります故。…とはいえ、だったらきちんと水分だけ取ってほしいものです、中途半端に寒い。

さて、初っぱなに叫んでしまいましたが、私が所属する研究室の、移転の日が近づいて参りました。京都市内のこっち側の山の麓から、京都市内のあっち側の山麓へ。これが本当に遠い。その上役に立つ施設は皆無と言っていい。研究室のグレードは大幅に上がりますが、人間的な生活のグレードはガタ落ちになってしまうキャンパス移転です。そりゃまあ、移転して何年か経てば周りの環境も整うんでしょうけど、そのころには卒業。なんていうか、切り込み隊長役の辛いところです。

そんなこんなで、先週(というより先々週ですか、6/14)の土曜日に研究室のメンバーで新しいキャンパスの研究室の見学に行って参りました。

…まず、遠い。
 現在のキャンパスから、電車、電車、バス、と乗り継いで到着です。

…さらに、山の上。
 キャンパスが、本当に山の中腹に建設されています。バスは一応坂を上ってキャンパスの正面につけてくれるのですが、そのバスが半端じゃなく上る。まあ多分AI氏のキャンパスもこんな感じなんでしょうけれど、正直、初めて体験する私は、ちょっと凹みました。

…そして、周りに何もない。
 公園や住宅地はあるんです。でも学生生活にとって必要なコンビニは、いちばん近いものでも山の麓。食堂も同様。大学生協は未稼働(っていうか福利厚生棟がまだ建設中)。

…なかなか先が思いやられる所です。

そんな問題はありますが、キャンパス本体はなかなかの出来です。斜面に建設されていますので、なかなかファンタスティックな仕様にはなっていますが。

まず、広い。
 今までのキャンパスが手狭だったというのが移転理由の一つでもあるのでしょうから、これは外せません。玄関から廊下から本当に広い。くつろぎスペースまである。エレベータも大きい、これまでのように荷物いっぱいの台車を二人で押し込んで、一人が階段をダッシュで先回り、なんて必要がなくなります。
 傍らを見れば、あまりの広さにはしゃぐ先輩の姿が。

さらに、ハード面が整っている。
 移転に伴って、新調される実験器具もありますし、もともと建物に作りつけのもの(ドラフトとか)などは当然新しいものですし、その数もきちんと一人一人に行き渡るようになっています。実験台も傷一つなく、引き出しがありえないほど軽く動き、コンセントを探してさまよう必要がないほどタップがついていて、そして部屋が大部屋仕様なためになかなかの開放感。私は今年から研究室に配属でしたので、現在の研究室での生活はさほど長くはなく、この新しい施設の有り難みはあまり分からない方だったりするのですが、やはり広々として、備品が新しい研究室というのは、研究意欲がわくものなのでしょう。
 傍らを見れば、研究室の美しさにはしゃぐ先輩の姿が。

ただしこのキャンパス、山の中腹に建設されているため、建物はそのシバリから逃れられていません。
 北西側の地表面から建物に入ると、そこが3階。
 それを南西側まで回って、エレベータで1階まで下りると、そこに地表面が。
 そしてその地表面から隣の建物へのリンクブリッジを渡ると、そこがまた3階。
 …とまあ、ちょっとした迷路みたいな構造です。
 傍らを見れば、探検に出かける先輩の姿が。
 …っていうか、荷物開けるの手伝ってくださいよ。

一段落したあと、私たちもそのあたりを回り、地下の測定機器室に見学になど行ったりもしました。
 まだ人がいないため、廊下に電灯が灯っていません。
 薄暗い中、LANのハブでしょうか、所々で不規則に点滅する赤い光点が。
 そして、NMR室、換気扇を回すと部屋の中の気圧が下がってドアがめちゃ重くなります。
 そして流れ込む空気でドアが鳴きます。
 …なんだか、ちょっとしたダンジョンです。

とはいえ、これから新しいキャンパスで研究の日々を送ることになります。また生活が変わるでしょう、期待も不安も募ります。しかし、これはすでに決定事項、回りだした歯車を止めることはかなわず、もはや後には引けません。

そして、もとのキャンパスでの引っ越し荷造りへと飛び込んで行く研究室のメンバー。
 しかし、この後の引っ越し作業が凄絶なものになるとは、まだ誰も、予想していませんでした。

[ 敬称略 ]

* 2003/6/26 (木) 【 移転作業II−先輩方の亡霊− 】

本棚が現れた!
 敬称略は本棚の分解に取りかかった!
 本棚は仲間を呼んだ!本棚が現れた!
 敬称略は本棚の分(以下略)。

本棚はまだ可愛いものです。これが、後、雑誌(これもまだ可愛いうち、重いけど)、実験機器(でかくて重いけどまだ割と簡単)、試薬(誰が使ってたの?ってのがわんさか)、過去のサンプル(っていうか私が生まれる前の?)、ガラス器具(普段足りてないくせに何でこんなにあるんだよ!?)と続くと、なんていうかまぁ。

言っておきますが、そうやってカテゴライズできるものはまだ簡単です。単発もの、やたら形状が変なもの、こういうのの梱包は至難です。何が大変って、開梱のことを考えて詰めないといけませんから。

こんな調子で、ここ一週間ほどずーっと梱包作業をしています。何しろ、物が多い。歴史ある研究室だという事がおかしなところで分かってしまいました。今の人数は少ないのに。先輩方が残してくださったものの使えない物がいっぱいです。本当にいっぱいです。向こうに持っていっても多分使わないから開けないっていう段ボール箱がどれだけあることでしょう。これでも相当捨てたんですけれど。

…しつこく言っておきますが、本当に多いです。段ボール箱が大台に乗りそうです、1000箱。トラックにして19台。それが今、研究室の内外にうずたかく積まれています。5段以上。他にも段ボール箱に入らない器具を別包装。私は大して活躍していないのですが、まあ、これを8人でやるわけです。部屋の中に段ボール箱の壁ができています。今地震が起こったらひとたまりもありません。っていうか廊下においてあった雑誌類の段ボール箱が崩れたときはほんとにビビりました。良かったです、ガラス器具じゃなくて、ほんとに良かったです、下敷きにならなくて。
 なんていうか、こう、崩れ落ちる段ボール箱、その下敷きになる私、響き渡るガラス音、その中から這い出す私、そして、薬品庫にもたれかかって胸に深々と突き立ったホールピペットを抜き、
「0.5mlか…、おまえに…ぐふっ!、やられるなら…、本懐…。」
いやです、全然本懐じゃありません。オイルバス頭からかぶってとかだったらもっと最悪です。

もう、本当に、片付けても片付けても。
 本当に、片付けても片付けても、後から後から、何で発掘されるんですか、もうあの箱閉じてどこかに積まれてますよ、またもう一箱作ります?で、この箱向こうに運びますよ、え?いやいや、過去のギックリ腰がとか言ってないでくださいよ、戦力少ないんですから。…ああ、何とかこの辺、スペースできましたね、…って言うか何ですかその机の下の試薬瓶達は!?…もう一箱作ります。

ともあれ、何とか片づきました。後は運んで開梱するだけ。これが大変という話もありますが。

…って、あの棚の上にあるあれ、何です?

[ 敬称略 ]

* 2003/6/30 (月) 【 移転作業III −そして山頂へ− 】

今日は暇つぶしの日、6月30日。

「エアーキャップ」というのをご存じだろうか?荷物を梱包するときの緩衝剤に使われる、ビニールのプチプチするやつのことだ。そう、すでにモノの説明からこう言われてしまうように、その特性から、「プチプチ」「プチプチするやつ」「プチプチ君」などと呼ばれ、いっこうに本名を覚えてもらえない哀しい存在の、あれだ。あれの切れ端を一枚手に取り、気泡を一つずつ潰しだすと、なかなかどうして止められなくなるな。終わったときには妙な達成感と哀しさが襲ってくるというのに…。
 それはそうと、あれをやると、結構な時間が経ってしまう。逆に言えば、時計の針を意味もなく進めるのには、有効な手段だといえる。一般に、無意味に時間を進めることを「暇つぶし」というが、今回の場合を考えると、プチプチ君の気泡の一つ一つが「暇の一部」であり、その集合体としての一片のプチプチ君が「暇」ということになるな。大きい切れ端、小さい切れ端…、言い換えれば、大きい暇、小さい暇…。
 時間をこの目で感じられる、なかなかファンタスティックな光景だとは思わないか?

段ボール箱達が、旅立っていきました。行き先は山の中腹、新キャンパス。先発隊はすでに現地入りして荷物を待ち構えています。我々も最後の段ボール箱の運び出しの後、直ちに新キャンパスへと向かいます。

…多ぉっ!?

こんなに荷物ありましたっけ、っていうか、こんなに、梱包、しましたっけ?
 新キャンパスの研究室、足の踏み場がなくなっています。
 廊下にも荷物が広がり、隣の研究室の前まで段ボールの壁ができています。

これでは身動きがとれません。とりあえず、手当たり次第、開梱です。
 まずは雑誌、書籍。雑誌はともかく、書籍はどれが何処でなんていっている余裕がありません、手当たり次第本棚に詰め込まれていきます。どんどんとつぶされていく段ボール箱達。
 そして、棚をセットし直し、各器具達。
 緩衝剤のゴミが出るわ出るわ、まだ巻き段ボールがメインで、プチプチ君が少なかったから良かったものの、相当環境に負荷のかかる事態になっています。しかしそれでも、暇(=プチプチ君)が、かなり大量に出ています。それでもまだ3分の1も開きません。新研究室には、まだまだ数面の段ボールの壁がそそり立っています。自分の物を詰めた箱が何処にあるかも分かりません。捜索したいのですがそんなスペースはありません。よって目の前の段ボール箱から開けることになります。ああ、何処だ、私の実験道具、ああ、何処にいるんだ、私の貴重なサンプル達!
 そう、大気中の水分に弱い生成物などは、早く見つけだして乾燥箱に入れたいのですが、そんなことができる状況じゃない。もうてんやわんや。もうしばらく作業して、スペース的に余裕ができたら、荷物の選別がきちんと行われ、「これ使わないから、しばらく開けない」って言う段ボール箱の群がきっとできるはず。「開けるのには1年かかるよ。」とおっしゃった助手先生の正しさを実感する結果となっています。っていうか、研究室はいつ本格的に再稼働できるんだ?

…ってちょっと、この壁の一番下の箱、重さで潰れてきてますよ!?早く開けないと!

[ 敬称略 ]
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